2020-01-01から1年間の記事一覧
前回ブログからの流れで、岩波文庫版ファーブル昆虫記について書いておきたい。 昆虫記原書10巻を20分冊に分けて訳しているが、出版の順はなぜかバラバラである。 昭和5年から分冊発行順に初版の刊行年は以下のとおり。 第10分冊 昭和 5年 2月、第 9分冊 昭…
昆虫記第一巻を大杉栄が翻訳し紹介した功績は非常に大きかったが、昭和5年から 刊行が始まった岩波文庫版昆虫記の出版も日本での昆虫記普及に貢献したはずだ。 (やっかいな昆虫名の和訳は古川晴男博士が手伝うことで解消されている) この岩波文庫版ファー…
昆虫記第6巻3~4章にはファーブルの天才に対する考え方が書かれている。 天才というとその優秀な才能を持った人物のことを指している印象を受けるが、 ここでは主に生まれ持った特別な才能、天賦(てんぷ)の才を意味している。 ファーブルは自身の昆虫に対…
どんどんファーブルから離れているが仕方がない。ファーブルとダーウィンは切り 離せないのでもう少し続けたい。 フランシス・ゴルトン(人類学者・統計学者、イギリス人、ダーウィンの従弟、 生没1822~1911年でファーブルと同世代)について前回も触れたが…
前回のブログにコメントを頂戴しました。読んで下さる方がいるということは有難 いことです。当ブログは小生の怠慢もあり、検索しても引っかかりにくいような現状 ですので、他にも読んで下さっている方々には、当ブログを見つけて頂いたことに 対し深く御礼…
先日、「フランス印象記」桑原武夫著 昭和27年 三笠文庫という本を読んでいた。 桑原先生は京大出身の高名なフランス文学研究者で、スタンダールやルソーなどの 翻訳も多い。今まで全く読む機会もなかったのだが、通勤途中にぱらぱらと中を眺め ていて驚いた…
何年前になるか忘れたが、都内の某古書店から大杉が扇子に書いた漢詩調の直筆もの が出た。小生にはその書かれた内容はさっぱりわからなかったが、筆跡は本物である ように見えたので、すぐ書店に連絡をしてタイミング良く入手することができた。 書かれた文…
大杉栄の名を知ったのはもちろんファーブル昆虫記の翻訳者としてである。 無政府主義者で、大正12年9月1日11時58分に発生した関東大震災後の9月16日に、 憲兵に連行され殺害された。明治18年(1885年)に生まれ、大正12年(1923年)に亡くな ったのでまだ38歳な…
前回ブログで椎名其二について触れたが、交流のあった人物の中に作家の芹澤光治良 (こうじろう)という方がいる。 たくさんの作品を書いておられるものの、小生には縁が無かったのだが椎名其二との 関連で目を通すようになった。「女の都・パリ」昭和34年 …
昆虫記第1巻を訳した大杉栄の後を受けて、昆虫記第2巻から4巻までを翻訳したのが 椎名其二である。他にルグロ博士のファーブル伝も訳されている。 いったいこの人はどういう方なのだろう?ファーブルとのつながりが小生には分から なかったので、以前からず…
クレマンス・ロワイエ (Clémence Royer 1830~1902) という女性がいた。 フランス、ナント生まれで将校の父の影響で幼少期にスイスで亡命生活をしている。 科学者、フェミニスト、フリーメイソン?…どういう肩書がフィットしているのか わからない。代表作が…
ダーウィンの話ばかりでブログの本筋から離れるが、ファーブルが昆虫記内に おいて進化論批判を激しく展開している以上、触れておかざるを得ない。 ダーウィンは「種の起原」の中で、生物が後天的に獲得した能力が遺伝することは 認めているのだが、これは副…
前回ブログでコメントを頂戴した、有難いことである。 スペンサーの名前が気になったが知らないことばかりなので、社会進化論などこの際 関連の著作を読んでみたいと思った。 ちょうど昨日届いた "kotoba" 集英社季刊誌に池田清彦先生の連載「現代の優生思想…
1879年初版の昆虫記から3年後に第二巻になる新昆虫記が刊行された。 新昆虫記には亡き愛息ジュールへのファーブルの献辞が添えられている。 またこの年の4月に既にダーウィンは逝去しているが、ダーウィンからの書簡に書かれ た要請に応える形で、昆虫記第一…
大杉栄はファーブルに興味を持ち、昆虫記という題をつけ翻訳した。 小生のようなファーブルマニアとしては、もちろん大杉の資料にも興味を持って いるが、なかなか市場に出ることがないのが残念である。 当時は書簡にしても保管して見つかることでもあれば、…
前回ブログで触れたが、「種の起原」にファーブルの名前が引用されている部分で、 タキテス・ニグラ(クロトガリアナバチ)についてダーウィンは以下のように言及 している。 ”他のアナバチの巣に寄生するというこの虫の習性が、この種にとって有利であり、 …
ダーウィンとファーブルは互いに研究者として敬意を払っていたが、進化論について ファーブルは強く反対していた。それでも実験を頼まれれば引き受けていたわけで、 真理を追究する姿勢は共通していたのだろう。 ダーウィンの「種の起原」を知らない人はいな…
20世紀初めのスペイン風邪の話やパンデミックという言葉を知ってる人はいても、 まさか今、自分たちの身に降りかかることになると予想していた人は少ないはずだ。 親類、知人らまで罹患することになれば、いつ我が身に起こっても不思議でない。 ガンなら旅立…
新型肺炎が流行し世界中で人々のストレスになっている。 つい数か月前には考えられなかったことであり、たくさんの方が亡くなり、 人生観、死生観が大きく変化した人も多いのではないかと思われる。 もう少し前になるが小生も体調不良が続いていた。微熱と寒…
ああ!私たちは今日、快適だった私の学校からなんと遠ざかってしまったこと だろう! 君たちは私の子供時代、村の学校がどんなものだったか私に話して欲しいのだね、 私の学校について話して聞かせよう。 そこで私は自分にとって最初の心配事になった小さな…
新型肺炎の猛威が止まらない状況で心配している。 ブログを書く余裕も失われているという情けない状態だ。 当初は人~人感染は無いと言っていたが、風邪の原因菌としても知られるコロナ ウイルスに属することが分かっているなら、感染すると考えるのが当然の…
ボタン穴の赤いリボンと灰色の口髭で、彼の風采は重々しくかつ立派なものだった。 ピエール大尉はその村では強い印象を与える人物の一人だ。 年のせいで太ってしまい、アフリカでベドウィンの鉄砲玉に当たり、現地に残して きた片足に代わる木製の義足をつけ…
ファーブルが結婚に反対した義理の息子ソーテル氏について補足しておく。 ソーテル氏はファーブルの娘クレアと死別した後、やはり未亡人のジョゼフィーヌ という女性と再婚している。二人は娘ジャンヌを授かり、彼女がソーテルの名を 受け継いだ。 このソー…
昆虫写真家の海野和男先生が昨年制作された「ファーブル昆虫記の世界」という 美しい自費出版の冊子を読んでいたのだが、ソーテル氏のことが書かれていたので 驚いた。 ソーテル氏はファーブルの娘クレールの夫だった人である。ファーブルが結婚に 強く反対…
直近のブログでファーブルの未刊原稿をいくつか紹介した。 内容は専門的というよりも啓蒙的といった内容で決して難しくない。 ファーブル先生は、読者がやさしく興味を持てる内容を常に心がけていたのだろう。 今後もテーマごとに紹介していきたいと思ってい…
彼らの希望は牛痘の体液の人工的な接種が、乳搾り作業中に乳首を操作している 指が自然に受ける伝染と、同様の効果をもたらすことだった。 ランセットで軽く傷つけられたところには、できものが現れるはずだったし、 この手術を受けた人たちは仕事中に天然痘…
「 ワクチン( 種痘 ) 」 私たちは予防接種をして天然痘に備える 今頃知ったと思うことはない、天然痘の伝播を防ぐというのは、自分の家庭内で 天然痘が発生したとき誰も無視することはできない、とても大事なことだ。 発生しただけでもすでに深刻なのだから…