昆虫学者ファーブル雑記帳

フランスの昆虫学者ファーブルに関する話題を書いていきたいと思ってます。

新型肺炎について

新型肺炎が流行し世界中で人々のストレスになっている。

つい数か月前には考えられなかったことであり、たくさんの方が亡くなり、

人生観、死生観が大きく変化した人も多いのではないかと思われる。

 

もう少し前になるが小生も体調不良が続いていた。微熱と寒気、倦怠感である。

咽頭痛はないのに咳はもう出ていた。一般的な風邪とは少し違う感じで、印象として

はインフルエンザのあまり発熱していないような感じであろうか。

新型も流行しているし、もともと仕事を休みたい方なので、これ幸いと休むことに

した。政府も風邪気味の時には積極的に休養せよという御達しが出ていた。

体温37.5度が4日以上で保健センターに連絡という基準だったが、自分の症状はその

範疇にはなかった。

 

電車やタクシーもよく使うので、最近はいつにもまして注意はしていた。

自分としては珍しく十分な睡眠を取り、もちろんマスクは自宅以外で外すことはなく

手洗い、うがいも当然していた。換気の悪い所は避け手摺など皆が触るところは直接

触れない。具合の悪そうな方の傍には近寄らないようにもした。

それでも急に風邪症状が出現したのでちょっとしたショックだった。

熱は最高で36.9度程度で、昔罹ったことのある肺炎を起こしている感じはないので、

新型の検査はできておらず断言はできない。

ただ、普段はよく効く抗生剤やインフルの薬もさっぱり効かなかったので、インフル

ではないウイルス性の風邪であることは間違いないようだった。

 

これだけ睡眠を取っていて、ウイルス性らしき風邪? 少々信じられなかったが、

新型も完全には否定できないと思い、悪化した時のシミュレーションを頭の中で

立てた。

一方でこんな人は今の日本にはすごくたくさん居るのでは?と思った。

ただ検査ができていないだけなのである。しかし検査を完璧にやっても治療法が

確立していないので、病院がパンクし混乱するだけだ。

受診しても風邪薬の処方で終わるだけなら、軽症者は自宅で自己隔離し休養した

方が良い。そんな拡がりのレベルになってしまっているのである。

 

だらだらと回復することもなく寒気と倦怠感が続きひたすら仕事を休み寝ていた。

無理すれば出勤できたかもしれないが、たぶん動けばもっと発熱していた気がする。

何か体の中でくすぶっている寒気がずっと続いたので体力を温存したかった。

暇を持て余した状態でなく、朝から夜までずっと横になっていることを体が欲して

いた感じで、食べては寝るの繰り返しだった。

発症後1週間位が、悪化するか回復するかの境目と聞いていたので、とにかく食事を

増やし食べまくった。幸い咳がひどくなることなく時間が過ぎたので、大丈夫かも

しれないと徐々に思うようになった。

 

ウイルス性を疑ったので、解熱剤や咳止めは使用せず、ただ休息と栄養補給、そして

薬は去痰剤のみを2種類ずっと飲んだ。

気管が弱いせいもあるが、去痰剤は気管支の線毛の動きが活発になるので多少は肺炎

併発を抑止するのではないかと思ったからだ。

その後やっと一日の内で何時間か平熱に戻る時間が増えてくるようになり安堵した。

解熱剤を使うと細かい熱の推移が分からなくなり一見治った感じになるので、小生は

インフルの時や風邪の時も一切服用しないようにしている。

 

回復してからは再度症状が出ることもなく過ごしている。周囲の人にも移さないよう

心がけたので感染した人は周りにいない。

万一を怖れて改善後も入れて2週間近く休んだ。この程度でもし本当に罹患していた

ならラッキーなのかもしれないが、再感染もあるようなので喜んでもいられない。

いずれ採血で過去の感染がわかるようになれば、ぜひ調べてみたいと思っている。

 

しかし、検査をしていない場合、いつ出勤を開始するかというのは難しい問題だ。

インフルは一応基準がある、新型も検査陽性の方は陰性を二回確認して退院になる

ようだが、検査基準に入らなかった場合の人はどうすれば良いのか。

一応インフルの基準など参考にして、職場には申し訳ないが余裕を持って出勤を

少しづつ開始した。休むリスクより出勤して移すリスクを心配したからである。

たった2週間程度だったが、足腰が思ったより弱っていて駅の階段がおっくうに

なっていて驚いた。疲れやすいので仕事は少なめにしたが、頭の回転と体力が元に

戻るのに更に2週間は必要とした。

 

若くて重篤になっている人もいるし、風邪程度で済む人も多いと聞く。

いったいこの差はどこから来るのだろうか。

年齢や持病、個人の免疫力に左右されるのだろうが、最初にウイルスが侵入した際

の量、そして当初は風邪と間違われるので、解熱剤などの風邪薬を使用されるのが

非常に良くないのではないかと思っている。

基本的に高熱でも解熱剤は使わない、ウイルスも楽になってしまうからである。

咳止めも肺炎への進展を促してしまうリスクがある。

そして、糖尿病などで食事制限がある人以外は、普段よりもガツガツと食べる方が

免疫維持には良さそうだ。

 

感染を受けた時を普通われわれは感知できない。

したがって、ウイルスと接触する機会を減らす方が良いに決まっている。

マスクや手洗いは大切だ。人が触るところにも直接触らない方が良い。

つり革、手摺、ドアノブ、スイッチ、トイレレバーなどどこにでもリスクはある。

列車の自動ドアもご丁寧に触る部分が指定されている。

最近やっとニュースに出たがエアタオル、これはまき散らすので小生は一度も使用

したことはない。神経質になりすぎても良くないが、ウイルスは何時間も空中を漂う

らしいので換気は気を付けなくてはならない。タクシーの方も換気してくれるよう

になったが、窓はこちらで勝手に開けるようにしている。

ウイルスを少量しか浴びてなければ、大量に吸い込んだ時よりも多少は発病に時間が

かかるのではないかと小生は思っている。時間がかかれば体内で抗体ができる時間を

稼ぐことができる。したがって少しでも浴びる量を減らす、そして繰り返し浴びない

努力は無駄ではないと信じている。

 

最も大きいのは日常の疲労の程度が重症度を左右するのではないかと思っている。

強い免疫力があっても、仕事の疲れなど疲労が溜まっていれば抵抗力は一気に低下

する。その人のベストの免疫状態を維持しておくことが重要である。

防護服姿で疲れ切って働いていた外国の医療従事者がニュースに出ていたが、

あれでは感染して倒れても不思議ではない。

そして風邪気味の時は最初から遠慮なく休む。外出するだけでも体力は消耗する。

感染と戦うために力を温存するべきである。無理して働くのは決して美徳ではなく

感染症の場合は迷惑をかけてしまうのである。

 

薬については現在治験中で、まだ確立されていない。

特に呼吸器の弱い方は症状緩和を目的とした一般の風邪薬よりも、去痰剤の使用を

早期から検討することが必要だと思っている。もちろん、線毛の動きをよくする

ことが目的なので、痰が出ていなくても使用するべきである。

 

今回の流行で普段は見えない各国の医療状態の良し悪しがはっきりした。

立派な先進国と思っていた国が、医療的には意外に脆い面も露呈している。

また国民性もはっきり出てきて、困難に遭遇した時の精神の有り様が問われている。

さて日本人はどんなものだろうか…

現況は芳しくないが、衛生観念の低い国ではないので、何とか乗り越えるものと

信じたい。