ダーウィン関連
昆虫記第十巻4章に「ミノタウロスセンチコガネの美徳」という題の文が掲載されて いる。ここではミノタウロスセンチコガネの番(つがい)が他の虫と異なり、子育て に関して非常に情熱を持っており、雄は子育てをする雌を支え続けることが述べられ ている。…
ファーブル氏は確かに観察の専門家であり、科学的手法にも精通しています。彼は、 帰納的な方法を誇張することで、どのような間違いを犯すかを知っています。 さて、いくつかの孤立した事実から一般化に反する結論を出すことは、自分自身を 一般化することで…
エルツェン教授からファーブルへの書簡に対し、ドヴィヤリオはファーブルに代わり 反論の投稿を行なっている。1883年の科学レヴュ―という雑誌で、やはり心理学の テーマ部分である。なかなかドヴィヤリオの文章は見つけられないので、参考のため 紹介してお…
さて、すべての事実が簡単に観察できるわけではなく、「偶然の観察に頼ったり、 幸運な偶然を当てにしたりしないことが望ましい」(有名なカナダ人、ボーモントの 胃瘻のように)ので、「観察を重ね一つ一つ確認し、事実を誘発し、先行するものに ついて尋ね…
ブログ「アヴィニョンの生徒たちードヴィヤリオ(続)」の中で触れたように、 ローザンヌの生理学者であるエルツェン教授からファーブルへ書簡が送られた。 これに対してファーブルは不信感を抱き返信をせず、この書簡は科学雑誌レビューに 投稿される。つま…
そもそも、ファーブルの知人のジュリアンが、なぜこのようなファーブルの書簡を 有名な雑誌に投稿したのかという疑問がある。前年がファーブル生誕百年だったこと もあって、ファーブルをより広く知ってもらおうとしたのかもしれないが、もっとも 大きなきっ…
前回ブログに続きファーブルからドヴィヤリオ宛ての書簡を紹介する。他にも書簡は あったはずだが、残っていないのか公開されておらず残念である。二通目以降の書簡 は一通目から三年ほど経過してしまっている。 (ファーブル書簡:ドヴィヤリオ宛て二通目)…
先日、「科学と宗教との闘争」岩波新書 昭和14年 ホワイト著 を読んでいたら、 フランスの教会と教育制度の闘いについて書かれていて目に留まった。 小生も以前ブログで触れたが、オルレアンの有名な司教デュパンルーが文部大臣の デュリュイを攻撃したこと…
進化論について考えさせられることが多くなっていたので、久しぶりにグールド博士 の本を何か読みたいと思い、"フラミンゴの微笑" という本を読んでいたのだが、 中にダーウィンの ”人間の由来” 1870年刊行のことが書かれていて目に留まった。 やはり博士の…
昆虫記第6巻3~4章にはファーブルの天才に対する考え方が書かれている。 天才というとその優秀な才能を持った人物のことを指している印象を受けるが、 ここでは主に生まれ持った特別な才能、天賦(てんぷ)の才を意味している。 ファーブルは自身の昆虫に対…
どんどんファーブルから離れているが仕方がない。ファーブルとダーウィンは切り 離せないのでもう少し続けたい。 フランシス・ゴルトン(人類学者・統計学者、イギリス人、ダーウィンの従弟、 生没1822~1911年でファーブルと同世代)について前回も触れたが…
前回のブログにコメントを頂戴しました。読んで下さる方がいるということは有難 いことです。当ブログは小生の怠慢もあり、検索しても引っかかりにくいような現状 ですので、他にも読んで下さっている方々には、当ブログを見つけて頂いたことに 対し深く御礼…
クレマンス・ロワイエ (Clémence Royer 1830~1902) という女性がいた。 フランス、ナント生まれで将校の父の影響で幼少期にスイスで亡命生活をしている。 科学者、フェミニスト、フリーメイソン?…どういう肩書がフィットしているのか わからない。代表作が…
ダーウィンの話ばかりでブログの本筋から離れるが、ファーブルが昆虫記内に おいて進化論批判を激しく展開している以上、触れておかざるを得ない。 ダーウィンは「種の起原」の中で、生物が後天的に獲得した能力が遺伝することは 認めているのだが、これは副…
前回ブログでコメントを頂戴した、有難いことである。 スペンサーの名前が気になったが知らないことばかりなので、社会進化論などこの際 関連の著作を読んでみたいと思った。 ちょうど昨日届いた "kotoba" 集英社季刊誌に池田清彦先生の連載「現代の優生思想…
1879年初版の昆虫記から3年後に第二巻になる新昆虫記が刊行された。 新昆虫記には亡き愛息ジュールへのファーブルの献辞が添えられている。 またこの年の4月に既にダーウィンは逝去しているが、ダーウィンからの書簡に書かれ た要請に応える形で、昆虫記第一…
前回ブログで触れたが、「種の起原」にファーブルの名前が引用されている部分で、 タキテス・ニグラ(クロトガリアナバチ)についてダーウィンは以下のように言及 している。 ”他のアナバチの巣に寄生するというこの虫の習性が、この種にとって有利であり、 …
ダーウィンとファーブルは互いに研究者として敬意を払っていたが、進化論について ファーブルは強く反対していた。それでも実験を頼まれれば引き受けていたわけで、 真理を追究する姿勢は共通していたのだろう。 ダーウィンの「種の起原」を知らない人はいな…