2023-01-01から1年間の記事一覧
(ミルからファーブルへ) 1873年4月30日 ご丁寧な手紙をありがとうございました。 しかし、あなたの発見のおかげで、この地方にはまだ採集すべき貴重な種がたくさん あり、それらはすべて同時に成熟するわけではありませんので、この春、あなたと 一緒に採…
ジョン・スチュアート・ミル(John Stuart Mill)はイギリスの功利主義者としても よく知られている。また、ファーブルが迫害されアヴィニョンを追われた時に、資金 を融通してくれたファーブルにとっては大恩人と言える。 借りた大金を後にファーブルは誠実…
ファーブルが晩年に書きかけていた原稿があったことは、昆虫記第十巻22章終わりに ルグロ博士が述べている。第十巻23章ツチボタル、24章キャベツのアオムシはまさに ファーブルが昆虫記第十一巻の最初の2章として予定されていたものだった。 他にもオウシュ…
昆虫記第二巻第八章において、ファーブルは猫の帰巣本能について言及している。 「わが家の猫の物語」という題にあるように、自身の転居体験と飼い猫の話を交え ながら帰巣本能に関する話が展開される。同巻第七章が前回ブログで触れた「ナヤノ ヌリハナバチ…
ファーブルの書いた昆虫記にはいろいろな実験や観察が出てくる。19世紀当時には あまり行われていなかった動物行動学と言うべきものである。ファーブルの研究対象 が主に昆虫なので、小生はファーブルを昆虫学者と言わせてもらっているが、本来は 昆虫行動学…
毎度の話だが、あまりにも部屋が散らかってしまい足の踏み場もなくなったので、 仕事休みに少しづつ整理した。だんだんと年を取ってくると本の片づけも出来なく なるだろうと思い、いつもなら手を付けない書棚の奥まで入れ替えた。もう使うこと もないだろう…
- 戦いの栄光について語れ!とアンドレは書いている。 このような "狂人" の言うことに耳を傾けてはいけない。 一人一人が自分の畑を作りキャベツや大根を栽培しよう、そして野心家が栄光を手 に入れるため一人旅に出れば、ありきたりの盗賊として出迎えられ…
正月早々にあまり好ましい題ではないが、ファーブルの未発表原稿の中から以下に 一篇ご紹介する。今現在も実際に世界では戦争が続いている。自身を栄光でまとった 政治指導者の誤った先導により、多くの犠牲が毎日のように報道されている。昔も今 もこれから…
椎名其二は昆虫記第一巻のみで中断してしまった大杉栄の昆虫記訳を引き受けたわけ だが、そのほかにルグロ博士のファーブル伝も翻訳されている。昆虫記と同じ出版社 の叢文閣から大正14年に刊行。科学の詩人(ファブルの生涯)という表題である。 この本には…