昆虫学者ファーブル雑記帳

フランスの昆虫学者ファーブルに関する話題を書いていきたいと思ってます。

ラッティ大司教

シスター・アドリエンヌ

部屋が散らかってしまい、床に置かれた本が邪魔で人ひとり歩くのがやっととなり、 不愉快も限界に達したので片づけに着手した。進化論にブログで言及したくらいから 平積みが悪化したようだ。全部の本を読めるわけでもないのに買ってしまい収拾が つかなくな…

ファーブルと聖書ーパウロ

今までのブログで何度か述べてきたが、ファーブルはカトリックの様式に従って逝去 したものの、真のキリスト教徒ではなかった。 これはファーブル自身も述べていることであり、晩年アヴィニョンのラッティ大司教 が直接訪ねて来たり、書簡をファーブルに送り…

ファーブルの墓の謎ーファーブルの格言

セネカの倫理書簡集全124通の中には、死や魂について興味深いことが何度も 書かれている。もちろんファーブルも読んでいたことだろう。 第82通より わたしたちは自分が知っているこの世界を良く知っている。しかしどのように 退去するのか。またその後行くと…

ファーブルの神

ファーブルの宗教観についてはずいぶん前から考えている。 キリスト教徒ではないのでないか?ということは以前から言われているが、 はっきりと断言しているものを見たことがないので興味を持つようになった。 宗教観は極めて個人的なものなので周囲がとやか…

ラッティ大司教の書簡ー(7)

1914年7月20日 我が妹よ、先日の手紙にはまだ続きがあります。今日はそれをしたためましょう。 あなたを介してファーブル氏と斯様(かよう) に話すことができるなら、それはこの 敬うべき老人が精神の明晰さをすべて保っているということです。 そしてお気に…

ラッティ大司教の書簡ー(6)

1914年7月15日 我が妹よ、ファーブル氏の健康状態を知らせていただき、神の息吹を吹き込まれた 思いです。ひどい暑さにも彼がさほど苦しんでいないとのこと、大変喜ばしく拝読 いたしました。神のご寵愛を受けている彼ですから、寄る年波でさえ彼のたくまし…

ラッティ大司教の書簡ー(5)

1914年6月21日 我が妹よ、もうずいぶん長いことファーブル氏の健康について 知らせてくれていませんね。あなたはなぜ私がそれをこんなに気にかけて いるか知っているでしょう。 数日前に帰ってきたところなのですが、すぐにも確認したくてたまらなく なって…

ラッティ大司教の書簡ー(4)

1914年5月31日 我が妹よ、今日はペンテコステの祭りですね。 精霊が使徒たちのもとへ降臨し、カトリック教会が世界に姿を現した記念日です。 それまでこのガリラヤ人たちは誇りを持ってはいませんでした。 無知で卑怯で、なんと野蛮なのか! イエス・キリス…

ラッティ大司教の書簡ー(3)

1914年5月28日 我が妹よ、サン・フランソワの修道女が明日の金曜、あなたの元に向かいます。 我らの大切な病人を看護する手伝いとなるでしょう。 彼とあなたのために満足しています。 オランジュ首席司祭も私の名のもとに彼に会いに行き、彼の状況を知らせて…

カトリック教徒への道のり

ラッティ大司教の書簡が掲載された雑誌には、晩年のファーブルの逸話も いくつか紹介されている。 やはりB.ドルサン女史の文から以下に引用する。 ファーブルの容体が芳しくないとの知らせに、ラッティ猊下はアルマスを再訪 した。病人は猊下にその喜びと感…

ラッティ大司教の書簡ー(2)

1914年5月23日の書簡 ファーブル氏が私の手紙をお喜びになったとのこと、とても嬉しく思います。 どうか、私がしばしば彼のことを思っていると伝えて下さい。そして彼の 科学的作品について思いをめぐらします。偉大ですばらしく、非常に有用で、 この先も長…

ラッティ大司教の書簡ー(1)

アヴィニョン大司教ラッティ猊下の書簡 1914年5月19日 我が妹よ、昨日私が訪問した際に多大なる喜びを感じたことを どうかファーブル氏に伝えて下さい。 今朝、私は彼のために聖なるミサを唱えました。 毎夜、私は彼と心を一つにし、救世主の祈りを唱えてい…

ラッティ大司教の書簡ー(序)

いきなり晩年の話になってしまうが、今までのブログでずっとファーブルと 宗教に関係する内容が続いているので、ラッティ大司教の書簡については ぜひ先に触れておきたい。 これらの話は伝記などでも言及されていないので興味深い資料かと思う。 ファーブル…