昆虫学者ファーブル雑記帳

フランスの昆虫学者ファーブルに関する話題を書いていきたいと思ってます。

19世紀フランス学校教育

猫の帰巣本能

昆虫記第二巻第八章において、ファーブルは猫の帰巣本能について言及している。 「わが家の猫の物語」という題にあるように、自身の転居体験と飼い猫の話を交え ながら帰巣本能に関する話が展開される。同巻第七章が前回ブログで触れた「ナヤノ ヌリハナバチ…

科学 vs 宗教の渦

先日、「科学と宗教との闘争」岩波新書 昭和14年 ホワイト著 を読んでいたら、 フランスの教会と教育制度の闘いについて書かれていて目に留まった。 小生も以前ブログで触れたが、オルレアンの有名な司教デュパンルーが文部大臣の デュリュイを攻撃したこと…

ファーブルの見解ー学校教育の無償化について(続々)

おそらく肘の擦り切れた作業服の中では、将来、国を救うことになる 勇気や健気さが脈打っていることでしょう。 私はそれを見てきたし、今でも毎日それを見ています。 貧困は恥ずべきことではなく、しばしば私たちを前に進ませる いわばレコード盤に音を刻む…

ファーブルの見解ー学校教育の無償化について(続)

払っている者たちは自分が無料の者より教師からの厚遇を受けられると 信じるでしょうし、良い席は自分のためにあるのだとそれを要求する ようになるでしょう、そして試験の時はいつも自分が第1列目に座れる と思い込むでしょう。 無料の者は自分の惨めさを恥…

ファーブルの見解ー学校教育の無償化について

一般向けの本などでファーブルがあるテーマについて書く場合、 対話形式で読者が理解しやすいように話を進めていくことが多い。 出版を予定していたと思われる原稿の中に教育に関わる内容のものが あったので抄訳を掲載する。特にデュリュイの教育改革とも関…

デュリュイ対デュパンルー(続々)

女子中等教育は女性たちの管轄です。男性たちにあれこれして欲しくありません。 私は彼女たちが男性に運営させられている授業に出たり試験を受けたり 賞の授与式に出たりして欲しくありません。 女子中等教育は全般的に宗教的なものであり、純潔さを残してく…

デュリュイ対デュパンルー(続)

デュリュイ氏は少しも困った様子ではありません。 「実現には全てがシンプルで費用も掛からない」と彼は言っています。 フランスには3000人の教授陣がおり、7000人の高校、中学校の男子に 教えています。彼らに女子の中等教育の任務を与えてみましょう。 デ…

デュリュイ対デュパンルー

デュパンルー(1802~1878年)はオルレアンの司教。 特にカトリック教育に貢献してきたので デュリュイの教育改革には猛烈に反対をした。 Felix Dupanloupで検索すると画像が出てくるが、 表情は優しさと厳格さと両方混在しているように見える。 筆も弁も立った…

デュリュイとの出会い

1863年にデュリュイは文部大臣としてナポレオン三世に抜擢された。 1865年には視学官として南仏を来訪しファーブルと遭遇している。 お互いの印象は良かったようで、その後デュリュイの計らいで ファーブルはナポレオン三世に謁見することとなる。 堅苦しい…