昆虫学者ファーブル雑記帳

フランスの昆虫学者ファーブルに関する話題を書いていきたいと思ってます。

ソーテル氏の系譜

ファーブルが結婚に反対した義理の息子ソーテル氏について補足しておく。

 ソーテル氏はファーブルの娘クレアと死別した後、やはり未亡人のジョゼフィーヌ

という女性と再婚している。二人は娘ジャンヌを授かり、彼女がソーテルの名を

受け継いだ。

このソーテル氏の娘ジャンヌが結婚したのがストヤノヴィッチという方である。

その子供が日本でも知られたストヤノヴィッチさんなので、前回ブログで母方と

書いたが、父方の名を受け継いでいて、ソーテルという名はここで出てこなくなる。

 

 〇〇ヴィッチという名前を聞くと旧ユーゴスラビアの方の名前を想像するが、

名の由来は存じあげない。

残念ながら1999年に逝去されている。ファーブルの唯一の相続人だったようだが、

現在その席はどうなっているのか不明だ。お子さんがいらっしゃるが、必ずしも

受け継ぐものでもないようなので空席なのかもしれない。

詳しく調べていると名前なども皆出てくるので、フランスは系譜学が進んでいる。

ただあまり詳細に書くことは控えたい。

 

小生の想像に過ぎないが、以前ブログで書いたようにソーテル氏がファーブルの

資産を一部相続する権利を得ていたとすれば、その時からの流れで引き継がれた

のではないかと推測している。

ストヤノヴィッチさんが生まれて一年程で祖父ソーテル氏は亡くなっているので、

直接に見聞きはしておらず、両親から祖父のことを聞いていたと考えられる。

フランスの知人に聞いても、相続人の権利獲得の詳細についてはわからなかったが、

ストヤノヴィッチさんはファーブルをリスペクトしていたので、理由はどうあれ

適任な方だったのではないかと仰っていた。

 

(p.s.)

ファーブル研究で高名であり、日本でも著書が翻訳されているドランジュ博士が

昨年11月に逝去されていたようだ。

やはり交流のあった知人経由で体調不良はお聞きしていたのだが残念だ。

小生が以前、以下のような質問をしたが、体調不良でありながら真摯にご返答

いただいた事を記憶している。

「セリニャンでのファーブルに対する不協和音とはどういったものだったか」

といった内容だったと思う。

どうも以前のオークションで小生は博士と競ったことがあるようだ。

博士が入手したかった原稿は現在、未刊原稿として少しずつブログで紹介している。

そんな話もオープンにしてくれたことがとても印象に残っている。

 

ファーブルの貴重な観察ノートや原稿資料など多く保有されていたが、生前に既に

資料館に寄贈されていた。オークションで売却することもなくさすがであるが、

市場に出てくることがなくなるので、小生のようなコレクターにとってはやや残念

な気持ちもある。

 

「ファーブル昆虫記ー南仏・愛しき宇宙ー」という素晴らしいDVD-BOXがある。

奥本先生や海野先生がファーブルの世界を紹介する内容だが、奥本先生が資料館を

訪ねファーブルの原稿や観察日誌を手に取るシーンがある。

画面を通して見る限り、ドランジュ博士所蔵だった観察日誌とよく似ている。

ちなみにこの日誌については、詳細に解読され仏語で出版されているが、現在は

絶版なのか入手し難くなっており、邦訳もされていないので非常に残念だ。

 

ファーブルが信じていた魂の世界、より崇高な世界というものが本当にあるのなら、

博士は今頃、ファーブルに逢っているものと小生は信じたい。

 

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ファーブル伝

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