昆虫学者ファーブル雑記帳

フランスの昆虫学者ファーブルに関する話題を書いていきたいと思ってます。

ラッティ大司教の書簡ー(1)

アヴィニョン大司教ラッティ猊下の書簡

                   1914年5月19日

我が妹よ、昨日私が訪問した際に多大なる喜びを感じたことを

どうかファーブル氏に伝えて下さい。

今朝、私は彼のために聖なるミサを唱えました。

毎夜、私は彼と心を一つにし、救世主の祈りを唱えています。

「主よ、我が魂を御手に委ねます」

彼の学者の精神を信者とキリスト教徒の魂にするよう、

私は神にずっと懇願するでしょう。

彼は信者ですが、もっと充分な段階まで達してほしいのです。

神の御言葉を信じるに至るまで、さらなる向上が必要です。

神は我々の一人のように振る舞い、我らに福音と十字架と聖体の

秘跡を与えられました。

「より高みにある人生の入り口 Limen vitae excelsioris」まで昇った者は、

さらに高くまで昇らねばなりません。

そして、このイエス・キリストの教会、つまり魂の全世界的な社会に

完全に入らねばなりません。

小さき者も、みすぼらしき者も、魂の偉大な者も皆、崇高な人生において

聖体拝領をし、永遠の希望を強めることができるのです。

これが、90過ぎの科学労働者のファーブル氏のために

私が神に懇願することです。

私はまるで一世紀に渡って彼を知っているかのように、

彼を崇め愛しているのです。

あなたを祝福します、我が妹よ。

そして願わくば、この手紙をあなたの大切な病人に読み聞かせて

ほしいと思います。

          アヴィニョン大司教 ミシェル=アンドレ

 

注)この書簡はシスター・アドリエンヌに宛てられているが、

  J. H. ファーブルに捧げられている。

(p.s)

 Limen vitae excelsioris  ファーブル自身が書いたラテン語の墓碑銘の一節