ファーブルの写真が売りに出されることは稀なのだが、しばらく前に入手したもの
が出てきた。以前から写真は探しているが、なかなか出ないうえに見たこともない
カットというのはほとんど見つからない。
特に若い時の写真がないのが非常に残念である。もちろんまだ無名で裕福でもない、
そして写真技術も発達していない時代なのだからどうしようもない。
唯一、若い時の肖像画(40代?)というものが残されているが、あまりファーブルに
似ているとは思えず本人だろうか?と小生は疑っている。
よくあるファーブルのカットだが修正が入っており、元になった写真のようだ。
オオクジャクヤママユの入った籠を前にポーズをとっており、L'Illustration という
雑誌に掲載されたが、ルグロ博士のファーブル伝 (PL.XV) にも使われている。
ファーブルの研究室で羽化したメスを求めて、40頭以上のオスの群れが殺到した
という ”オオクジャクヤママユの夜” の話は有名である。
よく写真を見ると後ろの標本棚の水平部分で、ファーブルの帽子や服の黒い部分と
重なるところは白く修正されている。一番目立つのは瞳孔部分が黒く塗られている
ことである。ストロボなど無い時代だが光の反射でもあったのか、それとも若く
生き生きと見えるように修正したのだろうか?
手が入っているとわかった上で写真を見ると、何となく妙な違和感を表情に感じて
しまう。高齢になっても雑誌撮影のためにポーズを取らされていることをどのように
ファーブルは感じていたのだろうか?
小生はもっと日常に近い、そして写真の修正もされていないファーブル先生を
見たかった気がする…。
- 作者: ジャン=アンリ・カジミールファーブル,Jean‐Henri Casimir Fabre,奥本大三郎
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2009/09/04
- メディア: 単行本
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