昆虫学者ファーブル雑記帳

フランスの昆虫学者ファーブルに関する話題を書いていきたいと思ってます。

フンコロガシの水彩画

スカラベサクレ、和名がヒジリタマオシコガネ。

ただ、実際にファーブルが観察していたのは、ティフォンタマオシコガネだった

とのことだ。この経緯については「完訳ファーブル昆虫記第1巻上」集英社版に

詳しい。大杉栄スカラベサクレと訳しているが、昭和6年のアルス社版では

「しんせいよろひむし」とある。漢字は知らないが、聖鎧蟲のように書くともう

何だかわからない。

 

ネットを検索しているとよく見かけるので知り得たのだが、ロンドンで1921年発行

の「FABRE'S BOOK OF INSECTS」という大きくて豪華な書籍があって、

デトモルト (Edward Julius Detmold 1883~1957) というイギリス生まれの画家が

昆虫の挿絵を描いている。

本を開くとすぐスカラベの絵があるのだが、ファーブルの息子のポールが撮影した

写真を参考にして描いているように見える。糞球をスカラベが運んでいる様子で、

非常に美しい。

 

彼はイラストレーターとしていろんな本に挿絵を描いており、もちろんファーブル

の本だけではない。また、双子の兄がいたが20代で早逝されており、こちらも絵を

描いていた。彼らの水彩やエッチング作品が1990年にオークション(Bonhams)に

出ているが、鳥、魚、リス、虎、花など様々でアラビアンナイトジャングルブック

などの挿絵もある。

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デトモルトの手書き水彩原画。13×16cmと小さいが精密で驚いた。

左下に特徴あるサイン。上記のファーブル本にある挿絵と図柄が異なり未発表か。

 

ファーブルの関連でやはりネット検索をしていたら、たまに Hiroshi Asada という方を

目にすることがあって、それが麻田浩さんという日本の画家の方だった。

アルマス(L'Harmas 1983年)という銅版画の作品集を出版され、セミなどの昆虫が

描かれており、こちらも素晴らしいので感動した記憶がある。どうも渡欧されていた

時に出されたようなのだが、作品にアルマスの名を冠しており、いったいどのような

経緯で制作に到ったのか知りたいところだ。

 

他に熊田千佳慕さんが昆虫記をテーマにした細密な作品で有名だ。

後を継いでくれるような作家が出てこないかなぁ…と常々思っている。

 

完訳 ファーブル昆虫記 第1巻 上

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麻田 浩  静謐なる楽園の廃墟

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ファーブル昆虫記の虫たち (4) (KumadaChikabo’s World)

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