昆虫学者ファーブル雑記帳

フランスの昆虫学者ファーブルに関する話題を書いていきたいと思ってます。

デュリュイ対デュパンルー

デュパンルー(1802~1878年)はオルレアンの司教。

特にカトリック教育に貢献してきたので

デュリュイの教育改革には猛烈に反対をした。

Felix Dupanloupで検索すると画像が出てくるが、

表情は優しさと厳格さと両方混在しているように見える。

筆も弁も立ったようなのでカトリック教会側にとっては

頼もしい存在だったのではないだろうか。  

 

特にデュリュイの女子教育については同僚の質問に答える

という形で反論しておりその内容を出版している。

よく「何々への書簡」と称するものをデュパンルーは

出版しているのだが、活字にすることで自分の意見を

広く知らしめるという目的があったのだと推察される。

 

以下にその内容の抜粋を書いておく。

題は「デュリュイ氏と女子教育」1867年刊

 

閣下(他の司教と思われる)、去る10月30日の文部大臣デュリュイ氏の

通達について閣下は驚きの気持ちで読まれたと言われ、

私の思う所をお尋ねになりました。

驚きの気持ちで、と閣下はお書きですね。私にすれば、その印象を

表現する言葉はそれ以上のものでして、それを形容する言葉は

ここでは差し控えようと思います。その言葉は、全ての物事の

根幹から吹き出ており、デュリュイ氏の通達を読むであろう家族の

父や母の口から出て来るに違いない言葉なのです。

この通達は、女性や家庭の母や宗教関係の女性にではなく、

男性である大学教授陣に教育を委託して、14歳から18歳までの

女子たちの公的教育を設立することを目的としております。

そしてこの通達は次のような特徴的な言葉で終わっております。

「やろうと思えば数週間で女子向けの高等教育は実現するだろう。

3000人の教授たちはすでに準備ができているのだから。」

 

デュリュイ氏の活動範囲はかなり広く、私たちが思いもしなかった

所で扇動するので、なかなか先が読めません。

女性への教育を強化するということにしても、隠れた形の一通の

通達で、彼女たちが役所に出向き教授達に書類を提出して

資格申請を準備することを勧めるなど誰が思いつくでしょうか。

 

私は40年以上にわたり観察をして来た者として断固として見識のある

意見を申し上げたい。

女子の知的教育とは、ただ単に教科科目や授業方式に関わるものでなく、

男子の学校教育に比べ、より上質で、より堅固で、より高度で、

より繊細で、かつ豊かで持続的な結果をもたらすものでなくてはならない

ということです。この件に関しては私は多様な世界の方たちに証人に

なってもらえるでしょう。

 

デュリュイ氏は言います、「最も良い女子教育の場でも初等教育

終わりの程度のものしかやらないではないか」

「これらの施設で女子は16歳から18歳まで留まり、習う事と言えば

読み書きと四則計算だけ、それが村の教育施設なのだ、フランスでは

女子に中等教育は無いのだ。」

 

しかし大臣殿、宗教や無宗教の女性教師の多くが、まるで田舎の無知な

少女と同じく生徒たちを卒業させてしまうとすれば教師たちの責任を追及

しなくてはなりません。

どうであろうともデュリュイ氏が私たちに押し付ける批判に耐えましょう。

そして大臣殿によれば14歳から17歳の女子にとってフランスには現在

存在しないとする中等教育がどのような新しい効果的な方法であるのか

見てみましょう。