昆虫学者ファーブル雑記帳

フランスの昆虫学者ファーブルに関する話題を書いていきたいと思ってます。

デュリュイ対デュパンルー(続)

デュリュイ氏は少しも困った様子ではありません。

「実現には全てがシンプルで費用も掛からない」と彼は言っています。

フランスには3000人の教授陣がおり、7000人の高校、中学校の男子に

教えています。彼らに女子の中等教育の任務を与えてみましょう。

デュリュイ氏によれば「受け入れ態勢は出来ている」とのことですが。

それは素晴らしいことです。

しかし私に言わせてもらいますと「文部大臣殿、3000人の教師たちには

時間の余裕がある、ということなんですね?」

「なんと7000人の男子に教えているのですよ、そこに女子の中等教育

加えるのは簡単な事だと?」

 

デュリュイ氏が女子中等教育が行われるのは、市役所、市庁舎または

何か他の地域の公的機関の一室である、と言いました。

いったいデュリュイ氏はちゃんとお考えになったのでしょうか?

ここでは多くの職員が働き婚礼なども執り行われ、日によっては市役所を

埋め尽くしております。移動中の兵士に宿泊券を発行したり

消防士たちの会合や音楽隊が練習する時もあります。

またしばしば警察の言葉で言う「留置場」となる時もあり、泥酔者、

浮浪者、騒ぎ立てる人などを収容します。

こんな所に女子生徒たちを加えるべきでしょうか?

これがデュリュイ氏が驚くべき思考の豊かさの中で、フランスにおける

女子中等教育のために考えたことであります!

 

それにまた、母親は娘が体験する全ての外部との接触や出会いを

気にしなければいけませんが、この点についてデュリュイ氏は

母親が自ら娘を連れて来るしかない、と言っています。

それが嫌なら子守り役に頼むしかないと。

デュリュイ氏は貧困家庭の女子も来れるようにしたい意向ですが

誰が付き添うというのでしょうか?全ての女子生徒が子守り役を

持っているわけではないのです。

 

卒業資格、試験がどのように行われるかと言えば、少女たちを

老いも若くも男性たちの目に晒すようなことになるのは

大変不都合なことだと思っております。

なぜあなた方の威圧の前に、私たちの宗教女たちが要求に従っている

ことを私が我慢してきたかと言えば、私は耐え忍んできたのです、

そして憤慨しています!

もうたくさんです、少女たちの最も高貴な名誉は尊重されなくては

いけません、そしてこのような布告に彼女たちを押しやることの

無いようにせねば。

 

私は次の事を知っています。大臣殿が主要都市で開催した公開講義

において、若い女性は排除されなかったこと、何人かの大胆な男性

教師が厄介な議題を持ち出したこと、若い女性の同席する会合では

この上もなく難しく厄介なラブレーモンテーニュについての議論

であったこと。市町村長や評議会議員の中に、女子生徒の魂と心に

最も有害な印象を与える、不信心で軽薄な男性教師の巧みで柔軟な

発言を遮ることのできる人はいないでしょう。

発言は傷を負わせるものであり、その傷の修復はまず不可能です。

私は信仰の心がないか信仰を疑っている男性教師の行う授業の

巧みさや才能を危惧します。