昆虫学者ファーブル雑記帳

フランスの昆虫学者ファーブルに関する話題を書いていきたいと思ってます。

閑話(6)-メーリアンの絵

先日、ファーブル館のサイトを拝見していたら画家メーリアン(1647-1717)に

ついて書かれていた。

女性にもかかわらずスリナムへ移住し、植物、昆虫などスケッチして帰国後

手彩色の画集を出版したというすごい方である。

 

このメーリアンという名前を見て久しぶりに思い出した。

もう十数年以上前になるはずだが、小生は荒俣さんの著作にいたく感動して

かぶれていた頃だ。自腹で資料を集め、出版社に泊まり込みで執筆するなど

夢のような話だった。

もちろんそのような資金的余裕も才能もなく悶々としていたのだが、古書や資料

に関する興味や情熱は持っていた。

 

たぶん荒俣さんも当時、顧客だったのではないかと思うが、オランダに有名な

古書店があって拙宅にも美しい目録が送られてきていた。

何がきっかけか忘れたが、比較的安価な書籍を購入したのかもしれない。

とにかく一桁違うくらい高額な書籍を売るので知れ渡っていた書店さんだ。

以前メールで店主さんと何度かやりとりしたが、朝から数キロ泳ぎ健康的な生活

をされていると仰っていた。

高額な商品を扱っているうえに、何だか左団扇(うちわ)感が漂っていて非常に

羨ましく感じたのを覚えている。

 

もちろんメーリアンの名前は承知していたが、あるとき彼の送ってきたカタログ

にメーリアンの直筆の絵が掲載されていた。

小生は目が釘付けになり、不治の病がまたもぞもぞと動き始めた。

まぁ、十分な資金があればすぐ購入していたことだろう。

もちろんそんな余裕は日頃の散財で持ち合わせてないのであるから、

どうにもならない。

それでも欲しかったので仕事を極限まで増やして、月賦で払うことまで考え

相談していた。何回払いまでが可能か、いつまでに支払い終えるか等々。

絵は羊皮紙に確か描かれていて、彼女独特の植物が美しかった。

価格は新築一軒家のローンが半分くらい吹っ飛ぶほどの値段だったのだから、

買おうと考えるだけでもおかしいのだが、当時は小生もどうかしていた

のだろう。実際に仕事を増やしてみて試すところまではトライしてみたが、

あまりの辛さに結局諦めるという決断を泣く泣くした。

 

まぁ冷静になって考えれば、確かに甲虫や蝶は描かれているが小さくて、

大きな花瓶とメーリアン独特な花が目立つ構図だ。

たぶん甲虫か何かがドーンとメインで描かれていたら危なかったと思う。

忘れるために目録は処分したようで残念なことをした。

 

しばらく売れなかったらしくその後メールした際に再度勧められたが

さすがにお断りした。

メーリアンには娘が居てこちらも画家で母を手伝っていたのだが

彼女の絵もその後、同書店のカタログで出た。

綺麗な絵だが母ほどの個性は感じず、メーリアンの7割くらいの価格

だった気がする。

絵は花ばかりで昆虫も描かれてなかったのでホッとした記憶が残っている。

 

図鑑の博物誌 荒俣宏コレクション 増補版  (集英社文庫)

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Maria Sibylla Merian

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